しろなまず(尋常性白斑)
色素が抜ける病気
尋常性白斑は、皮膚のメラニン色素をつくる機能が低下して肌の色素が抜ける病気で、一般に「しろなまず」と呼ばれています。一見、皮が向けたようにも見えますが、色素が抜けただけで外傷はなく、患部に痛みやかゆみを感じることはありません。白斑は全身のどの部位にも発生し、分布の程度によって限局型、汎発型、全身型に区別されます。
また、白斑のタイプを大きく分けると2種類あり、それぞれ経過や治療法が違います。
①神経の分布に関係なくできるタイプ
幼児からお年寄りまで全年齢層で発症し、初めはほんの数カ所ですが、次第に数が増え、患部面積も広がって全身に及ぶようになります
。②神経の分布に関係した一定の部位にできる分節型
25歳ころまでの若年層に多く発症します。神経の分布に沿って急速に広がりますが、1年前後で進行は止まり、その後は生涯そのままの状態が続きます。
①と②の発症比率は3対1くらいです。
なぜ色素がなくなるの?
白斑ができる原因としては、本来なら細菌などから自分自身を守るはずの免疫機能が自分の色素細胞を攻撃してしまうためという説(自己免疫疾患説)とか、色素をつくる細胞が末梢神経の影響を受けて色素を作らなくなってしまうためという説(神経説)などがあります。しかしまだはっきりとは分かっていません。
気長に治療して
治療法としては、光線の感受性を高める薬を内服あるいは患部に塗布した後に紫外線照射するソラレン療法(PUVA)と、ステロイド剤の外用や内服があります。タイプや時期によって治療効果が違うので、自分に合う治療法を見つける必要があります。
効果があれば白斑の中に点状の色素斑ができて徐々に拡大し、周囲の肌色となじんでいくかたちで治っていきます。②のタイプには、病気の進行が止まってから植皮術を行うこともあります。ただし当院では行っていません。いずれにしても、これらの治療方法は人によって差があり、なかなか治らない人もいます。
日焼け予防をしっかりと
白斑の部分にはメラニン色素をつくる細胞がないので、日焼けをしやすい状態にあります。メラニン色素は細胞の核を守る役目をしており、それがない状態だと、日焼けだけでなく、太陽光線に含まれる紫外線が細胞のDNAを傷つけてしまい,将来皮膚の悪性腫瘍が発生する可能性が出てきます。しっかりとした日焼け予防対策が必要です。
合併症にも注意
重症の人や治りにくい人は、自己免疫疾患を伴っていることがあります。例えば、甲状腺疾患や膠原病などを伴っていないかどうかを調べるために、一度精密検査を受けたほうがよいでしょう。
なお肌が白く見えるような皮膚の病気はほかにもあります。正しい診断をするために必ず診察を受けましょう。